青い空の下、僕たちは今も
来なれた桜花の部屋
喋らなきゃいけないことがあるはずの桜花は口を開こうとしない
そんな雰囲気を出してるのは俺なのに
いらいらする
「…何か、あるんじゃないの」
しびれを切らした俺がかけた言葉に
桜花の瞳が揺れる
怖がらせたい、わけじゃない
「千春が…もう、いいんじゃないって」
何で、あんなやつにそんなこと言われなきゃいけない。
あいつじゃなくて…桜花は、どうしたい。
「別れる…」
そう、言いたかったのに
口に出されてしまえば、何てあっさりした言葉なんだろう
「…ん、そう」
適当に頷いて立ち上がる
これ以上は持つ気がしなかった、のに
慌てたように腕を掴みに来る桜花は
本当に何を考えてるのかわからない
「…離せよ」
「…紗綾のとこ、行くの?」
「は?」
思いっきり引っ張られて体制が崩れる
気づけば上に、桜花
「…その前に、ちゃんと言って」
「なに言って」
力任せに押し付けられた唇は震えていた
「…なに、してんだよ」
「…なに、驚いてるの」
だって、一度もしなかった
そういうのはなしって、そういうルールだって
「フツウでしょ、これくらい」
お前にとっては、フツウなんだ?
嘘つけよ
「ふざけんな」
上にまたがる桜花の頭を抱え込んで
むさぼるように唇に噛みつく
時々漏れる桜花の声が俺の感情を掻き立てる
こんなことなら、もっと早く手ぇ出しとけば良かった
というか、手ぇ出す気でいれば良かった
そしたら、そうしてれば
…なんだ?
「やっぱ、無理」
唇を離して手を放せば
力なく下に落ちてくる桜花
まだ漏れている声に
桜花も泣くんだな、と思う
「どいて」
静かに、首を振る桜花
じゃぁ、なんで
「何で、別れるなんて、言うんだよ」