青い空の下、僕たちは今も




「千春が、」

「言うな」


俺の声に、またすくむ桜花


「なんで?」


聞くなよ、そんなこと


「好きだから」

「…え?」

「…はっ!?」


え、俺今なんて


「…棗、顔」


俺の言葉に顔をあげた桜花が
呆けた顔のまま口を開く


「真っ赤…」


…あぁ、もう、諦めた

わかりきったこんな単純な気持ちを
否定し続けるのは


「好きだ…」


柔らかい唇に触れる


「…なつ、め?」


吸い込まれるようにくちづけた

苦しそうに体をよじる桜花を逃がさないように
ベッドに押し付け

欲しいままに触れる


伝われ、伝われ、伝われ

俺が、どれだけ長い間お前を見てきたか

俺が、どれだけ強くお前を思ってるのか


自分でも、気づかないほどフツウに
ずっと、特別だった


幸せなんて、願えない


一瞬でいい

乱暴だと、酷いと、怒ってくれていい

こっちを向いて


先に幸せにするのは


「…は」


ぎこちなく、桜花が応えた


「…何で」

「行こう」


俺を押し退けて、立ち上がると、少しよろける


「…腰抜かしてんの?」

「…早く」


少し赤くした頬を、信じてみてもいい?


「どこに?」

「学校、美術室」


なん、だよ


「もう、遅いって…」

「今じゃないと駄目」


…真剣な瞳


こんなの逃がすなんて、今更無理だ


「……わかったよ」


そう呟いて、立ち上がる

桜花を、逃がさないために






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