青い空の下、僕たちは今も



「え、…紗綾」


暗い美術室

扉を開ければそこには、うずくまった紗綾


「え、桜花…、と棗くん?
どうして…帰ったんじゃ」


話す紗綾を無視して電気をつけて
完成したと言っていた絵の前に座る桜花

そのまま、何かを書き込んでゆく


「…紗綾、ごめんね」

「え…」

「…私、譲れない」


ぐっと唇を噛んだ紗綾の瞳には、涙がたまっていた


「恋、か…」

「え…?」

「私はこんなに、真っ直ぐだったかな…」


桜花の描いている絵を見ながらそう呟く紗綾は、小さくて、弱くて、どこか、綺麗だった


「…行くね、…頑張って」


頑張って


笑いながら去ろうとする背中が、寂しそうで、辛くて


「紗綾も!!頑張れ!!!」


思わず叫んだ声に一度立ち止まり、また、歩き出した


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