お前だけが欲しくて
腕の中の温もりが無くなっていることに気づいて、慌てておきる
「凛華!」
返ってこない返事
凛華が帰ってしまったと絶望する
今、思い返せば、連絡先すらも交換していない、名前ですらも呼ばれない、ヤるときも絶対に素顔は見せない
そんなとても不安定な、浅い関係でしかなかった俺たち
まだ会ってから一ヶ月も経っていない
それでも俺の凛華への想いは、俺が思っていた以上に大きかったようで、目から自然に涙が溢れた
凛華の残り香が微かに残りながらも、凛華がいない現実が、辛くて、寂しくて、悲しくて、虚しくて、認めることができなくて
ぽっかりと心に穴が空いたようだった
俺はみっともなくも、涙が止まらなかった