支配人との恋(仮)
「すみません、俺のなんで手放してもらってもいいですか?」
背中に感じる温かいぬくもりと、香水のフルーティないい匂い。
パッと顔だけ後ろを振り向くと、そこには茶髪の男性がいた。
「なんだよ、俺が先に声かけたんだ。お前こそその手を離せ。」
気づけば後ろの男性にも掴まれていた私の手。
「俺のだから離せっつってるだろ。警察呼ぶぞ?おっさん。」
警察という言葉にビビったのか、おじさんはその場を足早に去っていった。
「あ、あの、ありがとうございます。」
私は後ろを振り返ってお礼を言う。
「大丈夫?とんだ災難だったねー。」
男性はふわりと笑いながら話してくれる。