君との距離5cm
「何回か白石さんが誘われてるのを見かけた事があるんだ」
「……」
「その度に先約あるのでって笑顔で断って、
1人になった瞬間真顔になる。
俺は白石さんの名前と噂話と作り笑顔と、冷めた表情しか知らない」
「……」
「興味本位で声はかけたけど、
俺は白石さんの事もっと知りたい」
私、少しだけ分かった気がする。
神咲くんが王子様って呼ばれてるのか
純粋で真っ直ぐな言葉
胸に突き刺さる様な真っ直ぐな……
きっと神咲くんは嘘はついていないだろう。
確証なんてないのにそんな気がした。
だけどそんな真っ直ぐな人だからこそ
私の近くにいるのはいけないんだ。
素敵な人を汚したくはないから。
「ねぇ神咲くん」
私はこれから先もずっと1人でいい。
決めたの、誰も信じないって。