君との距離5cm

「何回か白石さんが誘われてるのを見かけた事があるんだ」

「……」

「その度に先約あるのでって笑顔で断って、
1人になった瞬間真顔になる。

俺は白石さんの名前と噂話と作り笑顔と、冷めた表情しか知らない」

「……」

「興味本位で声はかけたけど、
俺は白石さんの事もっと知りたい」



私、少しだけ分かった気がする。
神咲くんが王子様って呼ばれてるのか


純粋で真っ直ぐな言葉


胸に突き刺さる様な真っ直ぐな……


きっと神咲くんは嘘はついていないだろう。
確証なんてないのにそんな気がした。



だけどそんな真っ直ぐな人だからこそ
私の近くにいるのはいけないんだ。


素敵な人を汚したくはないから。




「ねぇ神咲くん」



私はこれから先もずっと1人でいい。
決めたの、誰も信じないって。
< 17 / 75 >

この作品をシェア

pagetop