始まりのラピスラズリ


「ハル先輩、飛べましたね」


その言葉に、俺はさっき自分の視界にあった
光景を思い出す。


最後のスリー。
気づけば俺は、シュートを打っていた。
投げたボールが、緩やかな弧を描いて。
吸い込まれるように、ゴールに落ちた。
久しぶりの、あの光景。

俺はまた、飛べたんだ。
俺はまた、戻って来れたんだ。

あの光景がそれを証明してくれたようで、
俺は思わず泣きそうになった。

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