始まりのラピスラズリ
「…お前、見てたんだな」
「応援してるって言ったじゃないですか。
まぁ、声に出すつもりはなかったんですけど…」
そう言って少し恥ずかしそうに頬をかく椎名。
「…最後のシュートの時、お前の声だけが、
鮮明に俺に届いた」
お前が、俺は飛べるって言ってくれた。
お前が、俺をまたあの場所に戻してくれた。
お前の声が、俺にまた飛ぶための翼をくれた。
「ハル先輩……?」
急に黙る俺を見て、不思議そうな顔をする椎名。
そんな彼女に俺はゆっくりと、でも確かに
聴こえる声で言葉を綴る。