始まりのラピスラズリ
「はーい」
勇人の家のチャイムを鳴らすと、勇人の母親が顔を出す。
「あら、悠久くんじゃない!
久しぶりねぇ、中学校以来かしら」
「どうも、ご無沙汰です。
これ、うちのばあちゃんからです」
そう言って大きなスイカを前に出せば、勇人の母親は笑顔でそれを受け取った。
「まぁ、ありがとうね!
折角だから、悠久くん上がっていって」
「え、でも…」
「暑い中歩いて来て疲れたでしょう?
頂いたスイカ、切るから食べて行きなさいな」
そう言って爽やかな笑顔を見せる勇人の母親は、やっぱり勇人にそっくりで、親子だなぁと思う。
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
「えぇ、どうぞ」
リビングに入れば、クーラーの涼しい風とソファでアイスを食べる勇人が、俺を待っていた。