始まりのラピスラズリ


「はーい」


勇人の家のチャイムを鳴らすと、勇人の母親が顔を出す。


「あら、悠久くんじゃない!
久しぶりねぇ、中学校以来かしら」


「どうも、ご無沙汰です。
これ、うちのばあちゃんからです」


そう言って大きなスイカを前に出せば、勇人の母親は笑顔でそれを受け取った。


「まぁ、ありがとうね!
折角だから、悠久くん上がっていって」


「え、でも…」


「暑い中歩いて来て疲れたでしょう?
頂いたスイカ、切るから食べて行きなさいな」


そう言って爽やかな笑顔を見せる勇人の母親は、やっぱり勇人にそっくりで、親子だなぁと思う。


「じゃあ、お言葉に甘えて…」


「えぇ、どうぞ」


リビングに入れば、クーラーの涼しい風とソファでアイスを食べる勇人が、俺を待っていた。

< 111 / 427 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop