始まりのラピスラズリ
勇人がそこまで言った時、急にリビングの温度が一気に下がったような気がした。
「…へぇー?私、息子をそんなこと言う子に育てたつもりはなかったんだけどなぁ?」
「……っ」
冷えた笑顔で勇人の後ろに立つ勇人の母親に、勇人は肩を震わせて息を呑む。
勇人…、どんまい。
俺が心の中で勇人を哀れんでいると、勇人の母親が笑顔でテーブルにスイカの乗った皿を置く。
「はい、悠久くん。バカ勇人はほっといて、いっぱい食べてね」
「はい、ありがとうございます」
笑顔を返せば、勇人の母親は1つ頷いてから、勇人を視線で一蹴して、リビングから出て行ったのだった───。