始まりのラピスラズリ


「…椎名は、買い物って何か欲しい物があったのか?」


俺は恥ずかしさを隠すように話題を変える。


すると椎名は、静かに言った。


「いえ、欲しい物は特になかったんですけど……。
少し、気分転換に……」


そう言って笑った椎名の顔がとても悲しそうで。とても苦しそうで。


「………」


「……先輩?」


「…夏祭り、一緒に行かないか?」


俺はつい、そんなことを口にしていたんだ───。

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