始まりのラピスラズリ


あの時は、ちょっと気持ちが滅入ってたから、先輩の優しい笑顔に思わず涙が出ちゃいそうだったな…。


そう思って少し微笑んでいれば、私を見ていた舞子も嬉しそうに微笑む。


「愛生…、あれは愛生のせいじゃないんだから、今ある幸せをちゃんと掴みなよ?」


「……うん、ありがとう舞子」


「…あっ、もう出なきゃいけない時間じゃない?
早く行かないとっ!」


「あ、そうだった!
舞子も夏祭り行くんだよね?」


「うん、受験生の弟にお土産頼まれたからね!
愛生、今日はその可愛い姿で悠久先輩をメロメロにして来るんだよ!」


メロメロって……。


「あははっ、うん、頑張って来る!」


私達は笑い合いながら家を後にした───。

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