始まりのラピスラズリ


すると、彼女が一つ深呼吸をした。


不思議に思っていると、彼女は丁寧に話し始める。


「橘悠久先輩、ですよね?」


「え、なんで俺の名前…」


花を配っていた時に他の女生徒達から同じことを何度も聞かれたが、何故か、彼女が俺の名前を知っていることにとても驚いた。


それに、普段ならそう聞かれても無視しているのに、気づいたら彼女に言葉を返していた。


「私、椎名愛生っていいます。
今年から先輩の後輩になります。
これからよろしくお願いしますね」


そう言って微笑んだ彼女がとても綺麗で、俺は思わず目を奪われた。


そしてまた気づいたら、゙よろしぐなんて、絶対に言わない言葉を返していた───。

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