始まりのラピスラズリ
「あれ、ハル先輩?」
その声が聞こえたのは、いつか使っていた特別教室の前の廊下。
振り返れば、こっちに近づいて来る椎名が目に入った。
「1週間ぶりくらいですかね!
元気にしてました?」
「あぁ…、そっちは?」
会いたいと思っていた相手がいきなり現れたことに少し動揺しながら俺は返す。
「私はめっちゃ元気ですよー!
ハル先輩、今日は部活ないんですか?」
「今日はオフの日だからない。
…今、話せる?」
俺は少し考えてから、特別教室の扉を指して言う。
「?……はい、平気ですよ」
椎名は不思議そうにしながら頷いた───。