始まりのラピスラズリ


「誰かにずっと…、私の声を、聞いて欲しかった…!」


「うん…」


俺は震える椎名の肩を優しく抱く。


「聞くよ…。
今まで忘れてた分、俺がその声を聞くよ。
だから、思いっきり泣け」


「ふっ……、う、ぁあ〜〜…!!」


俺の言葉を合図に、椎名は俺の胸にしがみついて堰を切ったように泣き出した。


その涙はきっと、彼女が今までずっと1人で抱え込んでいた『声』だったんだろう───。

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