始まりのラピスラズリ
「あ、先輩!」
視線の先に現れた大好きな人に、私は笑顔で声をかける。
「げっ」
あからさまに嫌な顔をする彼。
橘悠久(たちばなはるひさ)先輩、高2。
「ハル先輩もこれからお昼ですか?」
「…お前、ハルって呼ぶのいい加減やめろよ」
私の質問には答えずにそう言う先輩。
「いいじゃないですか。悠久先輩って長くて面倒くさいですし」
もう何十回目かのこのやり取りも、今となっては慣れたものだ。
先輩ももう、諦めモード。