始まりのラピスラズリ
「あ、そーいえば、ハル先輩」
あることを思い出して呼ぶと、先輩は筆を止めて私を見る。
「前に先輩と一緒にお昼食べたことあったじゃないですか。
あれから私、オムライスにハマってて毎日のように食べてるんですけど」
「毎日って、飽きないのか?」
「それが最近少し飽きてきてまして。
だからハル先輩のオススメを聞こうと思って」
そう言って笑うと、先輩は少し考えこむ素振りを見せた。
いつもなら面倒くさそうに会話を中断させようとするのに…。
答えを探す先輩の姿に、驚きながらも嬉しい気持ちが湧き上がって来る。
「…唐揚げ定食とか」
「唐揚げ定食ですね!
今度食べてみます!」
先輩との距離が少しずつ近付いていることを感じていた───。