始まりのラピスラズリ
「橘ー、お前確か、岩崎と同じクラスだったよな」
「はい」
確認すると、先生は先輩の手の上に鍵を置く。
「第2体育館の鍵。
球技大会の練習、あいつのクラスがいつも最後までやってるからな。
戸締りして職員室に持って来るように伝えといてくれ」
それだけ言うと、先生は部屋を出て行ってしまった。
先輩……?
残された私は隣にいる先輩を見上げる。
鍵を見つめる先輩がなぜだか少し苦しそうに見えて、私は思わず声をかける。
「先輩、ハル先輩」
「……っ」
先輩は私の声に反応すると、
「俺、行ってくるから、先に帰ってていい」
とだけ言って、部屋を出て行ってしまう。
その後を慌てて追いかけて私は言った。
「ハル先輩、私も行きます!」