始まりのラピスラズリ


すると、そんな私を見ていた先輩が突然、口に手を当てて震えだした。


「せ、先輩……?」


「…ふっ、……ふ、くっ…。
お、まえ、…笑わせんじゃ、ねーよ…」


「え……」


見ると、先輩は笑いを堪えていたらしく、
口元に笑みを浮かべていた。


は、ハル先輩が、笑ってる……。


その光景に私は目を見張る。


私の視線に気づいた先輩は、目元に残る涙を拭った。


「何…?」


ポカンと口を開けている私を不思議そうに見る先輩。


「笑った……」


「は?」


「ハル先輩が、初めて、私に、笑った」


ポツリポツリと私が言葉を紡げば、今度は先輩が一気に顔を赤くした。


「なっ……」


「嬉しい。ハル先輩の笑顔が見れて、私、すっごく嬉しいです」


笑顔でそう言うと、先輩は慌てて話す。


「う、うるさい。
さっさと食って教室戻るぞ!」


初めてクールじゃない先輩の一面を見れた気がして、私は高鳴る鼓動をしばらくおさめることが出来なかった。

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