眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。
「可愛いもの?」
「社長に珈琲を入れる時、社長専用の角砂糖があるのでそれでいれてもらいましょう」
「はい」
半信半疑だったけれど、社長が下のフロアでの会議から帰ってきてしまい詳しい話は聞けなかった。
でも確かにあの靴がかわいかったから貰ったって言ってた気がする。
「しゃ、社長、珈琲でいいでしょうか」
「ああ。頼む」
「社長、こちら沢渡さんがまとめてくださったデータです」
社長と片野さんが話し出したのでそれまま離れて給湯室へ。
私の一人暮らしのキッチンよりも最新で思わずここで料理ができちゃうような設備に驚いた。社長と秘書しか使わないなんて宝の持ち腐れだ。
噂の社長専用角砂糖を探すが、一発で見つけてしまった。
シロップや棒状の紙に包まれた砂糖の奥に、お洒落な青色の缶があった。
それを手に取り、開けてみる。すると予想以上に可愛い角砂糖が顔を出した。
猫や犬、花、星、貝殻。
社長の高級ブランドのカップの隅に乗せると、思った以上に可愛い。
三つだけ選んで角砂糖入れに移して、運ぶ。
丁度、背伸びをしてデスクに置いてあった眼鏡をしている。
「しゃ、社長、どうぞ」