眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。
カフェはやはり女性が多くて、眞井さんは注目を集めていた。本人は慣れているのか全く気にする様子もなく、金魚の水槽と私を見てご満悦の様子だった。
「本当はお酒がある場所で口説こうと思ったんだけど」
「あはは。面白い冗談です」
一応女性ということで、気を使ってそんな事を言ってくれたらしい。
「冗談?」
「私と眞井さんは不釣り合いですよ。ふふふ」
いや、下手をしたら兄妹かもしれない。
「全然面白くないな」
眉間に皺を寄せられ、はっきり拒否される。
「女性を冗談で口説くなんて失礼だよ」
「わ、私は全く失礼じゃないです!」
自分でも何を言ってるのか分からないけど、ソーダをストローでグルグルかき混ぜてしまう。
ほ、ほら。イタリア人とかとりあえず初対面の人には口説かないと失礼に当たるとか、そんな感じだし。
えーっと。
しゅわしゅわとソーダの中のマシュマロが分解していく。
「失礼だよ。だから全力でいかせてもらおうかな」