眼鏡をかけるのは、溺愛のサイン。

 眞井さんの言葉の真意が分からず、私の目線は溶けていくマシュマロを眺めるだけだった。
顔を上げるのが怖くて、どんな表情をしたらいいのか分からなくてソーダの中の氷が溶ける音に集中してしまう。

「まあ、こんな人が多い場所で言っても、説得力がないか。一時休戦だ」

「は、はい」

 ナイスタイミングで、眞井さんの携帯に着信があったらしく『失礼』と席を立つ。
その時に自然に伝票をもっていくので、一瞬遅れて私も財布を出そうと鞄に手を伸ばす。

すると気づいたのか、頭を撫でられ制された。

おずおず見上げた眞井さんは笑顔で、なんというか全部分かってるというかお見通しだと言わんばかりだった。

電話から戻ったらお礼を言わないと。
ああ、でも眞井さんってなんか……スラっとして大きな手も格好いい。

 胸が先ほどから変に脈打っているので、ソーダが喉を通ると熱い体を冷やしていく。

けれどすぐに蒸発し、私の身体は熱を孕んだ。


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