わたしが小説を書くように
 かばんの中には、先生の本が必ず入っていた。

 わたしにとってそれは、お守りのようだった。

 人前で広げることはなかった。だって、誰かに見つかってとられたら、困る。

 ひっそりとした、わたしだけの秘密。

< 11 / 59 >

この作品をシェア

pagetop