わたしが小説を書くように
 いくら先生が動けないといっても、やはり緊張はする。

 男性の家に泊まるなんてこと、親戚以外でしたことがない。


 先生の横で、危うく告白しそうになってしまったのも、舞い上がっていたからだ。

 今カードを切ってしまうわけにはいかないと思って、急いで口をふさいだけれど……。


 目さえつぶっていたけれど、本当は、一睡もできなかった。

 先生の手が、頬に触れたのもわかっている。


 寝たふりをして、ごまかしてしまったけれど、
 本当はその手を、つかんで引っ張りこみたい気持ちだった。

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