わたしが小説を書くように
あこがれ
先生との出会いは、小学五年生のとき、本の中でだった。
もうそのころ父は家を出ていた。大量の本と家具だけを置いて。
わたしは父の書斎に立ち入り、本を読むのを日課にしていた。
母は本も処分したいようだったが、なにせ手間がかかる。
ひとがうちの中に入ってくるのを好まない母に、わたしは、
「本はわたしが読むから、まかせておいてほしい」
と告げた。
父の本棚には、仕事の本だけでなく、古今東西の文学書がたくさん並んでいた。
なぜだか少女マンガやライトノベルまであったと思う。
わたしはそれらを、文字通りかたっぱしから読んでいった。
理解できない言葉がたくさんある、難しい本ばかりだった。
諦めず、ひとつひとつ辞書を引き、語句の使い方を覚えた。
放課後はまっすぐ帰り、父のリクライニングチェアをぎっこんばったんしながら、本を読んだ。
そんななかに、先生の本はあった。
もうそのころ父は家を出ていた。大量の本と家具だけを置いて。
わたしは父の書斎に立ち入り、本を読むのを日課にしていた。
母は本も処分したいようだったが、なにせ手間がかかる。
ひとがうちの中に入ってくるのを好まない母に、わたしは、
「本はわたしが読むから、まかせておいてほしい」
と告げた。
父の本棚には、仕事の本だけでなく、古今東西の文学書がたくさん並んでいた。
なぜだか少女マンガやライトノベルまであったと思う。
わたしはそれらを、文字通りかたっぱしから読んでいった。
理解できない言葉がたくさんある、難しい本ばかりだった。
諦めず、ひとつひとつ辞書を引き、語句の使い方を覚えた。
放課後はまっすぐ帰り、父のリクライニングチェアをぎっこんばったんしながら、本を読んだ。
そんななかに、先生の本はあった。