わたしが小説を書くように
 観念して電話に出た。

 先生に写真のことを告げると、あっさりと認めた。

 妻子がいることを隠していた、ごめん、と。


 そして、『もう、終わったことなんだ』と言った。


 先生にとって終わったことでも、奥さんやお子さんにとって終わったことではないだろう。

 
 そのひとことで、別れを決めた。

 もう会わない。

 二度と。


 電話を切った。

 身まで切られるようだった。
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