白い華舞う季節に【仮】
その音に驚いた女はこちらに振り向く。
俺は気づいたら声をかけていた。
『なんで…こんなところで泣いてるんだ?…』
俺がそう聞くと、女は自分が急性白血病という病気だと俺もさっきまでいた病院で知らされたと教えてくれた。
病気だと知らされ、ショックを受け、気づいたらここまで走って来ていたらしい。
〝白血病〟という病気がどういうものなのかは正直よく知らない。
だが、いつもなら女が泣いてようと大抵わざとだから無視するがこの女のことはなぜか無視することができなかった。
この女の名前は、舞華というらしい。
こんな時だが、舞華はとても綺麗で…
そばにいたいと思ってしまった。
なぜそう思ったのかはわからないが
お見舞いに来ていいか聞くと頷いてくれた。
俺とタメらしく、
「敬語やめろよな?」
俺がそう言うと、少し笑ってくれた。
涙の跡はあったがその顔は
本当に綺麗だと思った。
(舞華を…もっと笑顔にしたい)
(舞華のことを…助けてやりたい。)
俺はそう思い、明日から毎日会いに行こうと誓った。
いつの間にか曇りがなくなったその輝く夜空を俺たちはしばらく見上げた。