ドクターと甘い恋
血液検査を終えた後、すぐに結果が出たみたいで。


「嶺菜、もう1個頑張ろっか。」


その言葉を聞いた時、再発してるんだなって分かってしまった。


骨髄検査は、やりたくない。

何が何でも嫌だ。



でも、陽向先生も祐希先生も治療拒否なんて許さない。



「やっ…骨髄検査でしょ、グス」


「うん、ごめんな。

でもわがまま聞いてらんないからいくよ」



ヒョイとお姫様抱っこされてしまい、あっという間に処置室へ。



「やだぁ!陽向先生やだ、やだ、やんないでっ…!」


「れーな、一旦落ち着こ。

大丈夫、大丈夫。」



処置室の硬くヒンヤリしたベッドに下ろされると暴れるわたしに、陽向先生は優しく声をかけた。


でも、怖いのは変わらないもんっ。

痛いんだもん、やだよ…っ。



「嶺菜、痛いけど痛かったら祐希が手握っててくれるから頑張ろ?」


「嶺菜ちゃん、できるタイミングになったら言って?」



ふたりの優しいところは、骨髄検査の時は無理にやらないで少しの間なら"やる"って言うまで待っててくれるところ。



「……手、握っててくれる?」



少ししてから涙を零しながら、ふたりに問いかける。



「うん、俺が握ってるから大丈夫だよ」


「陽向先生っ…」


「ん?どした?」



わたしの目線に合わせて優しい口調で訪ねてくれる。


そんな陽向先生に言葉をつなごうと声を出す。



「……グスッ。

嫌だけど、頑張るからっ、だからっ。」


「偉い偉い。

痛くしないから、泣いてもいいから動かないで出来る?」


「がんばる、グス」


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