ドクターと甘い恋
数時間後、嶺菜が目を開ける。



「…ひ、なたせんせ、」




酸素マスク越しに聞こえた嶺菜の声はたどたどしくて。



なぜか無性に、抱きしめたくなったーー。





「嶺菜、体調は?」


「…ごめん、なさ、い。

しん、どい…」



"しんどい"言葉を発しながら、大粒の涙を目からこぼした嶺菜。


大翔がいるとか、祐希がいるとか関係なく。



俺は、嶺菜の口から酸素マスクをとってベッドから起き上がらせるとぎゅっと抱きしめた。


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