ドクターと甘い恋
寝ると、不安なせいか嫌な夢を見るからーー。



「嶺菜…?」



何も言わず、黙ったままのわたしの顔を心配そうにのぞき込む奈緒。

奈緒の声にハッと我に返ると、わたしはゆっくりと首を縦に振った。



「……いく、」


「大丈夫、怖くないようにしてもらおう」



病院が大の苦手なわたしが自らお医者さんのところに行くといったのが嬉しかったのか、奈緒の目が優しくなった。


不安を取り除くように、ぎゅっと握ってくれた奈緒の手を、わたしも握り返したーー。










ーーガチャ。


「ただいま、お兄ちゃんいるでしょー?」



放課後。

幾分体調が良くなり、奈緒の家にお邪魔したわたし。


奈緒は、聖夜先生の部屋のドアを開けると、机で何やら難しい勉強をしている聖夜先生を見つけた。


うわぁ……っ!

医学書がたくさん、難しそう…っ。


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