ドクターと甘い恋
「祐希先生も呼んできました。

俺ひとりじゃ押さえられる自信ないんで」


「ありがとな」



銀のトレーに、注射器と針が乗せられたのをもってきた大翔は、気が利くことに祐希まで呼んできてくれた。



「嶺菜、座薬嫌なら注射しよ」


「……えっ、やだぁっ」



注射キライな嶺菜にとって、絶対いやなこと。

でも、座薬は落ちちゃったし、俺もまさかあんなに抵抗するとは思わなくて。



俺も少し怒ってるから。

注射のほうが早く下がるし熱は。



「祐希、大翔がっちり固定して」



低めの声でいえば、怖いのか嶺菜はグスッと泣き始める。

俺は少し背中をトントンとしてから、注射針を持った。



「痛いけど動かないで」


「やぁっ!先生やんないでっ!」


「よし、チクッとするよ」



俺は問答無用で消毒し、針をスッと刺す。

刺したのと同時に、嶺菜の叫ぶ泣き声が聞こえた。



「いや!!いたい!やだ!先生おしまいっ!!」


「まだ、嶺菜〜液いれるからもっと痛くなるよ」


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