ドクターと甘い恋
『はい、木村です』


PHSにかけると外来も終わったのか、ツーコールで電話にでた陽向先生。


「中島です。嶺菜の病室まで来てもらえますか?」


『嶺菜熱上がった?何度?』


「体温測ったんですが、嶺菜がすぐに消してしまいグズっていて測れていません」



嶺菜とのやり取りを話せば、電話越しから"はぁ"と小さなため息が聞こえた。



『すぐ行く。解熱剤の注射持っていくから固定頼んだ』


「わかりました」



やっぱり解熱剤の注射ようか。

嶺菜はグスンと嗚咽を漏らしながら泣いていて、見ていて心が痛い。



「嶺菜、注射するからうつ伏せになろっか。」


トントン肩たたき声をかければ、一瞬ビクッとした後大粒の涙を零す。

俺が怒ると思ったのかな?


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