ドクターと甘い恋
「ちょっと触るよ」


「いっ…!陽向先生いたいっ!」


青くなったところをそっと触れば、嶺菜は唇をぎゅっと噛み締める。


うわぁ…これ打撲してるよ。

整形連れてくか。



整形なら、俺の指導医の山本先輩いるしな…。


「嶺菜、骨髄検査少し場所ずらしてやって、それから整形」


「やだ、やだ!やんない…っ」



うーっと、泣かないと耐えているのだろうが、涙は頬をきらりとつたる。



俺は、何回お前を泣かせるんだろうな。

笑顔にさせる方が少ないかもな。



医者は苦しい仕事だな。

好きな女を泣かせることしか出来ない。

痛くて苦しいことしか出来なくて、泣け叫んでも止めてやれないんだもんな。



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