ドクターと甘い恋
俺は初めて診察した中学生の頃から嶺菜が好きだった。

だが、想いは割り切って治療していた。



「……嫌がっても病院連れてきてくれ」



俺の言葉に、電話越しで小さく笑う中川がいた。


『嶺菜ちゃんそんなに怒らないであげてください。

自分から病院行くって言いましたから。』




中川の言葉を聞いた途端嬉しくなった。



病院嫌いのあいつが来るといった、自分から。
……大きな成長だな。




中川と電話を切った後、俺の同僚である岡崎祐希(おかざき ゆうき)見つけ、嶺菜のことを話した。



「固定頼めるか?」


「あぁ、再発、か。」



きっと、骨髄検査をやふことになれば嶺菜は絶対嫌がるから固定が必要だ。


初めての看護師より中学生の頃から見てる祐希の方がいいと判断したためだ。


祐希は内科が専門ではなく、祐希が専門なのは精神科だ。

嶺菜の過去のことがあってから、心のケアは主に祐希に頼んでいた。



「あぁ、治すぞ絶対」


「当たり前だ」



カルテに目を通しながら苦しそうな顔をする祐希に俺は二つ返事で返したーー。

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