ドクターと甘い恋

「嶺菜ちゃんはさ、大切だから言えないんだと思うよ。

今日奈緒ちゃんに助けを求めたのだってきっと勇気がいることだったんだと思う。

ゆっくりだけど、成長してる嶺菜ちゃんを急かすのはやめよう。」



俺の言葉に陽向は、「やりきれねぇよ…ほんっと」


そう言って、涙声になりながら天を仰ぐ。




ずっと高校時代から一緒にいて、こいつの涙を見たのは初めてだった。

俺は涙を拭う陽向の頭を優しく撫でる。



かける言葉が見つからないんじゃない。


陽向は、分かっているんだ、本当に自分たちのことを大切にしてくれている嶺菜ちゃんの気持ちを。

だからこそ、誰も責められない。



自分の中で葛藤するしかないんだ。