佐藤さんの憂鬱。
もしかしたら、その選択も間違えたのかもしれない。

ぽつっぽつっぽつぽつぽつぽつざああー

追い打ちをかけるように土砂降りに変わった。
さっきまで雨の独特な匂いも感じなかったのに。土が湿気を帯びたようななんとも言い表せない匂い。


でも、なんでも良かった。
何も考えたくない。
なんでもいい。
雨に濡れて、この土砂降りの雨が私の全てを洗い流してくれる気がした。

ああ、なんてタイミングがいいのだろう。

明日は休みだ。
ここでびしょ濡れになって風邪を引いたところで…

「ねえ、君何やってるの?」

ぼーっとしていた私に突如かけられたであろう声。

「…え…?」

泣きすぎて、それを抑えすぎて掠れた出ているか出ていないかもわからない声。

「雨に濡れて肺炎にでもなりたいの?」
「…なんでもいいじゃない」
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