佐藤さんの憂鬱。
「え"、じゃあ誰が」
「えっと、、」

がちゃっ

そこにたっているのは見知らぬ女性。

「あーー!目を覚ました?!大丈夫?あなた今熱あるのよ!安静にしてて!今雑炊作ってきたからとりあえず食べて!あと、薬も飲まなきゃね!えーっと、あとは!」
「ちょっと、文乃(ふみの)黙って」

颯希くんがマシンガントークをする彼女にストップをかけた。
…彼女さんかなあ?

「ごめんね、うるさくて」
「あ、ううん、大丈夫。…すいません、ありがとうございます」

湯気の立つ温かくて美味しそうな雑炊を見て微笑みながら文乃さん?にお礼を言った。

「え」

木村くんの口から言葉がこぼれたような気がして、木村くんの方を向いて「どうかした?」と問いかけてみても返事はない。
何も無かったのかな、と思い、一口食べてみると、美味しくて温かくて涙が出そうになった。

今日の出来事が嘘だったんじゃないかと疑ってしまうくらい。


「文乃さん、美味しいです。ありがとうございます。あと、私のこと着替えさせてくれたそうで、お手数をおかけいたしました。私と木村くんは何の関係もないただの同級生なのでご心配なさらず…」
「…え?」

文乃さんの呆けた声が聞こえた。
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