佐藤さんの憂鬱。
でも、本当は分かっている。
人のせいにするのは簡単だ。
そう思わせてしまったのは私で、そう思うような行動をとったのも私。
彼らは私に気づかせてくれたんだと。

そして、それから自分の行動を直していかなかったのも私で。

木村くんだけのせいにするのはおかしいんだ。
それは分かっているけれど、


「でも、あの時…」
「あの時私は読書室の1番奥の席に座っていたので、お気づきにならなかったかもしれませんがいたんですよ」

ふっと自嘲気味に笑うと立ち上がった。

「看病してくださってありがとうございました。文乃さんにもお礼を言っておいてください」
「え、ちょっ、まっ、」

木村くんの引き留める声をかき消すようになった乾燥機の音に感謝する。

「木村くん、脱衣所お借りしますね」

パタン

人生のどん底とはこういう事なのだろうか。
キモい部長に注意され、大好きだった彼氏に振られ、トラウマを作った原因の人に出会う。

ほんと、どこの選択肢を間違えたのだろう。


着替え終わり、服をまとめた。
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