佐藤さんの憂鬱。
「な、んで…」
「心配だから。 てか、熱あるんだから早く帰らなきゃだよ」

思い出したように言う彼は、またもやハッとした顔になった。

「か、かよちゃん、終電…」
「?! 」

時計を見ると1時半を過ぎたところ。
…マジですか…。

「…いや、かもしれないけど、うち泊まる?今日は文乃が家にいるから…」

…きゅ、究極の選択…うぅ…

「…木村くんさ、何が望みなの…」

とてつもなく失礼な質問て分かっている。けれども、あんなにボロクソ言った女を今更になって家にあげるものなのか。
それが気になってしょうがない。

「俺は、かよちゃんと仲直りがしたいだけだよ〜」

高校時代を思わせる間延びした声。さっきまでそんなじゃなかった。
ゆるくかわされるようで苛立ちが募る。
しかしそのいら立ちも、やはりめんどくさいという自分の中のストッパーが働いて、無気力の方が勝ってしまう。そういう人間なのだ。私という人は。
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