佐藤さんの憂鬱。

「そうなの…」
「あ、かよちゃんめんどくさいと思ったでしょ〜」
「えぇ、だから、泊めさせてもらうわ。これ以上の会話は無駄だと思ったの」

…泊めてもらう身で何を言っているんだ自分は。そう思うけれど態度は変わらず。

無気力、無表情。高校時代よりかは無気力ではない。でも、意欲的ではないのは事実だ。
今の何よりの自分の中の問題は、表情が顔に出ないことなんだけど、それは今いい。

「じゃあ、おいでよ。うちに」

また、くしゃっとした笑みを私に向ける。
私が嫌いな。

彼の家に着くと、文乃さんが迎えてくれた。

「良かったあ〜！颯希が帰したのかとおもって馬鹿弟！！って殴り飛ばそうと思ってたところだったよ〜」

表情が豊かな文乃さんは可愛らしさが際立っている。
羨ましいと少し思ってしまう。

「かよちゃん明日は会社かな？」
「いえ、明日はお休みです。」
「ＯＬさん？」
「そうですね」

そっか〜とにこにこしながら文乃さんはTシャツなどを貸してくれた。