佐藤さんの憂鬱。
でも、"さつき"という名前が私の人生を狂わせていく気がした。


「そっか…」

茫然とした頭の中で唯一舌に乗せることが出来た言葉がそれだった。

「それだけ…なんだ」

じゃあ逆になんて言って欲しいのよ。
もうあなたの中で決めた事なんでしょう?!
なんて、言うのもいや。

「じゃあ、なんで私に結婚しようなんて…言ったの?」
「あの時はまだ皐月はただの後輩だったから。まだ…君のことが好きだったんだ…」

弁明するように私の目を見るがだんだんと下がっていく視界と小さくなっていく語尾。

「そ、うなの…」

どうすれば私は1番でいられた?どうすればあなたに愛してもらえていた?

やっぱり可愛くなきゃダメだった?
それを受け入れて私を好きだって言ってくれていたけれど、甘えてくれる子の方が可愛かった?

疑問は次々に浮かんでくるのに。
ツンと鼻の奥が痛くて、目が熱くて。
でもそれを我慢するには黙っていなきゃダメだった。

涙が零れてしまうから。
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