リナリア
確信
兄が高校一年生の夏。

夏の大会が終わってしまい、
兄は練習を少しサボっていた頃。


兄に彼女が出来た。


水曜日、勢い良く玄関を開けたら、
兄の大きい黒いローファーの隣に
小さい茶色いローファーが並んでいた。


正直、ドキンとした。
うまく靴が脱げずに、
少しの間
その茶色いローファーを見つめていた。



おかえり。と兄の優しい声がした。

でも、どうしてもどうしても
兄の顔を見れず、

初めて兄に対して
無視をした。
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