killer
「おいおいおいおい、マジかよコイツら。一体、何なんだよ! 心臓撃っても死なねぇとか、化け物じゃねぇかっ」


苛立ちを隠せないギルバートだったが、すぐに銃を構え、臨戦体勢を取る。


「ジェフ、ギルバート、イアン。ここは固まって本部まで帰還するぞ。住民を確保しに教会に向かう任務は、一時中断だ。現状を確認しに、本部まで戻るんだ。良いな? 」


各々の意思を確認し、隊長のグレグリーは3人を近くに集め、一点突破する作戦に出る。



「……良いか。あの路地に立ちふさがる住民の足を打ち、動作を緩慢にしてから、ここを突っ切るぞ。先陣は俺が切ろう。次にギルバート、イアン、後ろはジェフ、お前に任せる」

「おう」
「分かりました」
「了解」

イアンは右腕を負傷しているものの、片手で扱えるハンドガンに持ち変えていた。


ジェフは、その手が小刻みに震え、彼の息が上がっていることに気付く。


「おい、イアン。 傷が痛むのか? 」

声を掛けられ、ハッと我に返ったかのような表情を見せる細目の若手は、誰が見ても分かるほど、青白い顔をしていた。

「だ、大丈夫です。心配ありません。ただ少し、寒いだけですから……」


言葉に説得力は無いが、この状況でそれ以上返す台詞が見つからず、ジェフは静かに口を閉ざす。


「よし、行くぞ! 」


ヘルメットから覗く、つるりとした頭を光らせた隊長グレグリーの合図で、一斉に射撃し、住民の動きを鈍らせる。


「お前ら全員、倒れとけやーっ!」


空元気で銃をぶっ放すギルバートに呆れつつ、ジェフも援護射撃を行う。

「よっしゃー! 路地裏突破、大成功っ!」


こうして彼らは、路地裏を突破出来た……かのように見えたが。
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