killer
***


それからジェフ達は、割り振られた地域にある教会を目指し、周囲を警戒しながら徒歩で移動していた。


「はぁー。何処もかしこも、壊れすぎじゃないっすかぁ? 一体どんな攻撃を受けたら、たった7日で街全体がこんな廃墟みたいになるんっすかね」

ギルバートの不満に、ジェフは青い瞳で街を見渡す。


(……車を止めている入り口から、数キロは歩いただろうか)


生きている者の気配は未だ無く、無線からもまだそういった連絡も入って無い。


(血痕は街の至る場所に落ちているのに、なぜ、死体や怪我人すらいないんだ?)


沈黙を保つ街そのものが、まるで死滅しているかのようで。


「ギルバート、減らず口叩く元気があるんだったら、生存者がいないかあっちの路地裏も見回って来い」

スキンヘッドから脂汗を垂らしながら、グレグリーは口を尖らせるギルバートに指示を出した。


「へいへい、見てきますよ」


構えていた銃を肩にかけ直し、呑気に路地裏に消えていく若手の背中に、年長者は深く息を吐く。

他の隊員のイアン、サコスの2人も緊張感が緩んだのか、銃から目を離した……が、次の瞬間。


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