秘密の糸Season1㊤
(はえーな…。)


「じゃあな。」


「あ、うん…。送ってくれてありがとう…。」


そう言った円花の顔は少し、しょんぼりしていた。


そして、しょんぼりしたまま家のドアを開ける円花の後姿を俺は見つめた。


…いじわるした筈なのに、


…俺のほうが円花を求めてしまった。


(やっぱ、そんなに早く帰したくない。)


円花が家に入ろうとしてドアノブを触った瞬間、


俺は円花の反対側の手首を掴んだ。
< 107 / 642 >

この作品をシェア

pagetop