秘密の糸Season1㊤
「ごめんなさい。私の異動先がここだったの…。
秀一から、何も聞いてない?」


私はその時、黙って二人を見つめていた。


秀兄ちゃんの名前が出た瞬間、晋ちゃんの表情がまた曇った。


「知らない…。」


「そう…。あら、あなたは?」


「み、三田倉円花です!」


「ああ!あなたが!秀一からよく、あなたの事聞いてました。
三田倉さん、初めまして
秀一の妻の須藤清羅《すどうきよら》です。」


「は、初めまして!」


「可愛いわね、秀一と晋一君が話すのも分かるわ。」


「そ、そんな…。」


「あ、もう行かなきゃ。私、3年の教育教養の担当なの。
実習生だけどね。
これからは、大学内でもよろしくね。三田倉さん。」


そう言って須藤先生は、ニコリと笑った。
< 126 / 642 >

この作品をシェア

pagetop