秘密の糸Season1㊤
「ふー…。」

私の家系は、病院を経営している。


父は院長で、母は看護師。


幼い頃か両親は忙しく、あまり家には帰って来ない…。


「美菜はしっかり者だから大丈夫よね?」


幼い頃からそう言われ続けていた。


「…大丈夫よ。お母様。」


私は、そう言って守ってきた。


寂しい、行かないで


…なんてそんな事言えなかった。


何不自由ない幸せな暮らしだけど、


でも、この家には息が詰まっていた。


両親の前ではお嬢様言葉だけど、未だにまだ慣れない。


本当は…。普通に暮らしたい。


堅苦しいこんな囲いに囲まれた暮らしなんかじゃなくて…。


普通に…。


けど、新川家の娘として生まれた以上、我慢しなきゃいけない…。


「新堂さんとのデート服、考えなきゃ…。」


私は明日の服を決め、お風呂を済ませ、ご飯を食べ、そのまま就寝した。
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