秘密の糸Season1㊤
「…ここは、まず休憩室。
休憩は40分、2回目の休憩は20分だから。
弁当持参していいから。」


「は、はい!」


私はメモをした。


「次、ここ従業員用トイレ、
トイレはここ使うのが基本、後、ここは…」


(ひいい〜早い)


「次はタイムカード場所、やり方はまず…」


(それにさっきから、全然顔見てくれない…。)


「あ、あの!」


「…何?」


その時、井上さんが冷たい目で私の顔を見た。


(うっ…怖い…。)


「…何でもないです…。すみません…。」


「…あのさ、分からないなら言ってくれる?
分かったフリされんの、俺、嫌いなんだよ。」


そう言って井上さんは、また冷たい目を私に向けた。


「す、すみません…。」


それから私は、あの後仕事内容を全部教わった。


あの冷たい目で睨まれるのが怖くて、その日は一度も質問が出来なかった…。


(私、嫌われてる…?)


その時、店長の声が聞こえた。
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