秘密の糸Season1㊤
私は、井上さんの元へ走った。


バシャバシャバシャ


「お疲れ様です、井上さん。」


「お疲れ。」


「…傘、忘れたんですか?」


「うん」


その時私は、折りたたみ傘をバッグに入れていた事を思い出した。


「あの!良かったら、これ貸しますよ!
私、折りたたみありますのでそっち使います!どうぞ!」


「いいよ、汚したら嫌だから。雨止むまで待つし…」


「でも…」


その時


ザーザーザー


さっきよりも、雨がだんだん降ってきた。


「降ってきましたね…」



「………」


井上さんは唖然としていた。


「…止むまで待つ。」


(強情だなあ…。)


でもこのままじゃ、風邪ひいちゃうよ…。


この雨じゃ、折りたたみじゃ保たないか…。


どうしよ…。


私は、しばらく考えた後


「…分かりました!じゃあ、一緒にこの傘に入りましょ!」


そう言って、提案した。


「え?…は?」
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