秘密の糸Season1㊤
「だってそのままじゃ、風邪ひいちゃいます!
入って下さい!」


「…良いよ。」


「私が嫌なんです!」


「…分かったよ。…じゃあ、送る。」


そう言って、井上さんは私の傘に入って来た。


そして、私達は一緒に帰った。


自分から言ったものの、恥ずかしい…。


これ、相合傘だよね…。


だけどあそこで放っておけないよ…。


「傘、ありがとうな」


「い、いえ!」


私は、視線を逸らした。


(なるべく外側に…行こう。)


その時


「お前、肩濡れてる。もっと寄れよ。お前こそ風邪ひくぞ?」


そう言って井上さんは、私の肩を抱き寄せた。


抱き寄せられた瞬間、井上さんの顔が近かった。


(ち、近い!)


「悪い!」


「い、いえ!」


私達は思わずお互い、顔を逸した。


(き、気まずい…。てか井上さん、私ん家と逆方向なんじゃ…。)


「井上さん、こっち遠いんじゃないんですか?
私なら大丈夫ですよ。」


「傘、借りてるのにそうゆう訳には行かないだろ。」


「…すみません。…ありがとうございます。」


「おう。そういえば、何でうちでバイト始めたんだ?」


「あ、えと彼氏に、…誕生日プレゼントあげたくて…。」


「ふーん…。」


「けど何あげれば良いか、まだ分からなくて…。」


「ま、俺なら、何貰っても嬉しいけどな。」


「え?」


そして話してるうちに、自宅に着いた。


「あ、私の家ここです!送ってくれてありがとうござい…」


キキー
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